イアン・ワトスン 『星の書』 創元SF文庫

というわけで、黒き流れ3部作の2作目、『星の書』。
1作目の「川の書」が文字通り東西を分断する川の流れる、どこともわからない星を舞台にしていたけれど、今作では魂綱を通じてエーデンなんて聞いたような聞いたような星(というか地域)を舞台に中盤以降は進んでいく。『川の書』の世界の、社会も含めた異端さに面白さを感じたけど、エーデンに戻ってきたほかの惑星の描写は、面白いよりもまずあんぐりと口をあけて呆然、後ににやり、とさせられた。よーおもいつくなあこんなこと。

『川の書』は異世界を舞台にした冒険成長ファンタジーという要素が前面に出ていて、わかりやすかった。最終盤になってカの説明など、宗教の要素が加わっていたが、『星の書』では魂綱を通っている時の描写は、まあ魂と言う名前がついているから当然だけれど、宗教と言うか、神学的と言うか。解説に書かれている「前の巻よりワトスンらしくなった」はここら辺じゃあ無いかと思う。

1作目の時の感想にも書いたけれど、僕は異世界ファンタジーが好きだ。でもそれだけを書いている作品を読むのは、3部作にもなるとちょっとしんどいかなと思う。ある世界を提示し、その中で主人公の体験を描くのも結構だけど、もう1歩踏み込んだ文字通り世界そのものを読みたいのだ。
まあうまいことその方向に転がってくれているので、早く次を読みたい。

ゴッドマインドとワームの関係は、ヤリ―ンとナーリャの関係と一緒じゃあないかと予想。

まあ、次の『存在の書』を読むべし、だな。