感想

 『ロードマークス』 ロジャー・ゼラズニイ 遠山峻征訳 サンリオSF文庫

ロードマークス (1981年) (サンリオSF文庫)作者: ロジャー・ゼラズニイ,遠山峻征出版社/メーカー: サンリオ発売日: 1981/11メディア: 文庫この商品を含むブログ (6件) を見る読み始めて50ページ目ぐらいまではほんとに何をしているのか読み取れなかった。…

 『イングランド・イングランド』 ジュリアン・バーンズ 古草秀子訳 東京創元社

イングランド・イングランド (海外文学セレクション)作者: ジュリアン・バーンズ,古草秀子出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2006/12/21メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 10回この商品を含むブログ (21件) を見る 3部構成となっており、1部と…

 『遠まわりする雛』 米澤穂信 角川書店

遠まわりする雛作者: 米澤穂信出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2007/10メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 148回この商品を含むブログ (251件) を見る古典部4人のメンバーの中では僕は福部里志が一番好きだ。もしかしたら全小説のキャラクターの中でも…

 『わたしを離さないで』 カズオ・イシグロ 土屋政雄訳 早川書房

わたしを離さないで作者: カズオイシグロ出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2006/04/22メディア: 単行本購入: 10人 クリック: 568回この商品を含むブログ (547件) を見る 生きていればいるぶんだけ後悔は増えていく。生きているということはつまりなにかを選…

 『彼らはSW19からやってきた』 ナイジェル・ウィリアムズ 高儀進訳 早川書房

彼らはSW19からやってきた (リヴァーサイド・プレス)作者: ナイジェルウィリアムズ,Nigel Williams,高儀進出版社/メーカー: 早川書房発売日: 1993/12/01メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (2件) を見る 抱腹絶倒のコミックノベルと思って…

 『双生児』 クリストファー・プリースト 古沢嘉通訳 早川書房

双生児 (プラチナ・ファンタジイ)作者: クリストファープリースト,Christopher Priest,古沢嘉通出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2007/04メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 120回この商品を含むブログ (108件) を見る お金がないという理由で買う事がで…

 『ブラッド・ミュージック』 グレッグ・ベア 小川隆訳 ハヤカワ文庫SF

ブラッド・ミュージック (ハヤカワ文庫SF)作者: グレッグ・ベア,小川隆出版社/メーカー: 早川書房発売日: 1987/03/11メディア: 文庫購入: 9人 クリック: 227回この商品を含むブログ (87件) を見る まずあらすじ。研究所に勤めるヴァージル・ウラムはバイオロ…

 『恋人たち』 フィリップ・ホセ・ファーマー 伊藤典夫訳 ハヤカワ文庫SF

恋人たち (ハヤカワ文庫 SF 378)作者: フィリップ・ホセ・ファーマー,伊藤典夫出版社/メーカー: 早川書房発売日: 1980/02/01メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 26回この商品を含むブログ (23件) を見る 読む前の知識として、性を題材にしたショッキングな内…

 『フィーヴァードリーム』 ジョージ・R・R・マーティン 増田まもる訳 創元推理文庫

フィーヴァードリーム〈上〉 (創元ノヴェルズ)作者: ジョージ・R・R・マーティン,George R. R. Martin,増田まもる出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 1990/10/01メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 199回この商品を含むブログ (37件) を見るフィーヴァード…

 『ドリーム・マシン』 クリストファー・プリースト 中村保男訳 創元SF文庫

ドリーム・マシン (創元SF文庫)作者: クリストファー・プリースト,中村保男出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 1979/07メディア: 文庫 クリック: 2回この商品を含むブログ (20件) を見る今周りで起こっている事が夢か現実かなんてことは哲学的にはおもしろ…

 『グラックの卵』 ハーヴェイ・ジェイコブス他 浅倉久志編訳 国書刊行会

国書刊行会の叢書〈未来の文学〉のアンソロジー2作品目。今年出版される予定の本の中で最も期待していた、ユーモアSFを集めたアンソロジーである。編者あとがきによると40年代から年代順にユーモアSFを並べ、ジャンルの進化の跡をたどれるようにした…

 『遠い女』 フリオ・コルタサル他 木村榮一編 木村榮一/井上義一/入谷芳孝訳 国書刊行会

ラテンアメリカアンソロジー3冊目。収録作家をみてみると、『美しい水死人』とけっこう重なっている。だからといって同じような作品を書いていないところが短編小説のおもしろいところだと思う。深く吟味していけば共通の素材なりテーマなりを見出すことが…

 『アルゼンチン短篇集』 コルタサル他 内田吉彦訳 国書刊行会

引き続きラテンアメリカ文学の短篇集を読もうと思って選んだ。バベルの図書館という叢書であり、それもあってかボルヘスが編纂と序文を担当している。その序文と、前に読んだ『美しい水死人』、今読んでいる『遠い女』のあとがきを読んでいると、ポーの影響…

 『美しい水死人』 ガルシア=マルケスほか 木村榮一ほか訳 福武文庫

夏の夜長にはラテンアメリカ文学がぴったりだろうと思って、とっつきやすそうなアンソロジーから読んでみることにした。 ラテンアメリカと一括りにしてあるけれど、「犬が鳴いていないか」のようなリアリズム小説から、「羽根枕」のホラー、「水に浮かんだ家…

 森見登美彦 『太陽の塔』 新潮文庫

大学生の本分は勉強なのだが、本当にまじめにはげんでいる人間というのはあまりいないと思う。少なくともぼくの周りにはいなかった。類は友を呼ぶという言葉があるがここでは忘れることにしよう。勉強にはげまないでなにをするか?それはひとそれぞれだ。サ…

 チャールズ・ストロス 金子浩訳 『シンギュラリティ・スカイ』 ハヤカワ文庫SF

SFマガジン2005年12月号はニュー・スペースオペラ特集であったが、その解説の中で「ニュー」というのは、シンギュラリティ以降の世界を扱ったものと筆者は答えてることにしているようだ。じゃあシンギュラリティとはなんだろうと『シンギュラリティ…

 三崎亜記 『バスジャック』 集英社

バスという単語で連想するのは嘔吐である、いや嘔吐なんて哲学的な言葉じゃなく、もっと汚らしい言葉のほうがあっている。つまりゲロだ、これがいい。というわけでやり直そう。 バスという単語で連想するのはゲロである。過去を振り返ってみて人がゲロを吐く…

スティーヴン・ミルハウザー 柴田元幸訳 『バーナム博物館』 白水uブックス

普段読まないようなジャンルの本を読むと、いつにもまして本を読むスピードが遅くなってびっくりしますね。SF読んでいても、がっかりするぐらい遅いのに、それ以上に遅くなるとは思わなかったなあ。 『バーナム博物館』はゆっくり読むべき本であると思ってい…

エリック・マコーマック 増田まもる訳 『パラダイス・モーテル』 東京創元社

『隠し部屋を査察して』の文章を直したい、とても直したい。でもこれは直さずにおこう、とても悲しいことだけれど。 別に投げつける必要なんてない。げはげは笑えばいい、難しいことなんか考えなくてもいい、だってもっとわかりやすい文章で解説に書いてある…

エリック・マコーマック 増田まもる訳 『隠し部屋を査察して』 東京創元社

カナダの奇人、エリック・マコーマックの短編集。アイデアは奇想、というよりも変態ですね。僕は変な話が書かれているとそれだけで満足してしまうのですけれど、おかげでとても楽しめました。なんでそんな事を考えるんだろうと呆然としてしまいます。アイデ…

ハーラン・エリスン編 伊藤典夫・他訳 『危険なヴィジョン1』 ハヤカワ文庫SF

先に作品の方から。本書には八編の作品が収録されています。平均点は高いほうで、六編は楽しんで読むことができました。あとの二編は楽しくなかったのですが、これは半分僕の方に問題があるので何とも言えないですね。題材に興味を感じなかっただけですので。…

ポール・J・マコーリイ 嶋田洋一訳 『フェアリイ・ランド』 ハヤカワ文庫SF

うん、なかなかにおもしろかった。昨年出版されたマコーリイの処女長編『4000億の星の群れ』はさっぱり楽しくなかったし、ぶあつい本なのでびくびくしながら読み始めたのですが、杞憂だったようです。 なんといっても作中内のイメージが素晴らしかったで…

ジョナサン・レセム 浅倉久志訳 『銃、ときどき音楽』 早川書房

家電の次は動物だと思い、軽い気持ちで読み出したけれど、少し思っていたのとは違いました。 舞台となるのは、〈カルマ〉というポイントによって管理されている近未来のサンフランシスコ。このポイントが無くなってしまうと冷凍処置されることになってしまう…

マイケル・マーシャル・スミス 嶋田洋一訳 『ワン・オヴ・アス』 ソニーマガジンズ

2006年が始まって10日経ちましたが、僕の2006年ベストはもう決まりました。『ワン・オヴ・アス』です。他にとてもおもしろいのが出てくる可能性もありますが、その場合も別枠で1位に輝く事は間違いありません。 ベストといっても、話自体でそうな…

P・J・ファーマー 他 伊藤典夫/朝倉久志 編 『タイム・トラベラー』 新潮文庫

新潮文庫で刊行されていたSFアンソロジーの第三弾。『タイムトラベラー』は時間コレクションと銘うたれているが、前二つは宇宙SFコレクションみたいだ。こっちも手に入れたら読んでみたい。 解説の中で、時間は川であるという主張がなされている。その川の処…

ダン・シモンズ 嶋田洋一訳 『愛死』 角川文庫

ハイぺリオン四部作で有名なダン・シモンズの中編集。 この本、おやっと思うことに著者自らあとがきで作品について述べている。解説者や訳者が行うのは翻訳書では普通のことだけれど、珍しいなあと思う。おかげで感想が書きにくいが、何か新味をみつけていこ…

J・ダン&G・ドゾワ/編 深町眞理子ほか/訳 『魔法の猫』 扶桑社ミステリー文庫

タイトルどおり、猫が活躍する小説ばかりを集めたアンソロジーである。活躍するといっても脇役で、単に作品に彩りを添えるために猫が出てくるのではなく、猫がプロット上必要不可欠な作品に限られている。活躍するといっても、ほほえましいものではなく、元…

バリントン・ベイリー 大森望訳 『時間衝突』 創元推理文庫

のっけから仕事で恐縮だが、僕は島根県松江市にある島根県松江市にある島根政治経済大学で、考古学を専攻している。そこで、有名な貝塚と名前が良く似ていてまぎらわしく、よくネタにされる貝塚で発掘を行っているのです。 で「時間衝突」である。のっけから…

グレッグ・イーガン 山岸真訳 『ディアスポラ』 ハヤカワ文庫SF

読了、と言っていいものやら。 何が起こったかはわかったけど、どうやっての部分がほぼ全滅。どうやっての部分が重要なんだろうけど、再読して何とかなるとも思えないし、うーん。 自分の感覚に無理やり近づけてとらえようともしてみた。5次元の世界とかど…

竹宮ゆゆこ 『わたしたちの田村くん2』 電撃文庫

というわけで2巻の感想、の前に1巻の感想。 1巻の時の田村君は良かったと思うんだよね。だって中3から高1の人間ですよ。何かありゃうじうじ悩む、それで別にいいじゃない。うまく立ち回る中学生だってそりゃいるだろうけれどそんな奴には僕は何の感情も…