2006-01-01から1年間の記事一覧

 おひさしぶりです

おひさしぶりです、snowbirdsです、お元気でしょうか。 10月1日から環境が変わりまして、なかなか日記を書く時間を捻出することができず、一ヵ月半の放置とあいなってしまったわけであります。 見通しとしましては、今から約1年ほどはあまり時間が取れな…

 『グラックの卵』 ハーヴェイ・ジェイコブス他 浅倉久志編訳 国書刊行会

国書刊行会の叢書〈未来の文学〉のアンソロジー2作品目。今年出版される予定の本の中で最も期待していた、ユーモアSFを集めたアンソロジーである。編者あとがきによると40年代から年代順にユーモアSFを並べ、ジャンルの進化の跡をたどれるようにした…

 『遠い女』 フリオ・コルタサル他 木村榮一編 木村榮一/井上義一/入谷芳孝訳 国書刊行会

ラテンアメリカアンソロジー3冊目。収録作家をみてみると、『美しい水死人』とけっこう重なっている。だからといって同じような作品を書いていないところが短編小説のおもしろいところだと思う。深く吟味していけば共通の素材なりテーマなりを見出すことが…

 『アルゼンチン短篇集』 コルタサル他 内田吉彦訳 国書刊行会

引き続きラテンアメリカ文学の短篇集を読もうと思って選んだ。バベルの図書館という叢書であり、それもあってかボルヘスが編纂と序文を担当している。その序文と、前に読んだ『美しい水死人』、今読んでいる『遠い女』のあとがきを読んでいると、ポーの影響…

 『美しい水死人』 ガルシア=マルケスほか 木村榮一ほか訳 福武文庫

夏の夜長にはラテンアメリカ文学がぴったりだろうと思って、とっつきやすそうなアンソロジーから読んでみることにした。 ラテンアメリカと一括りにしてあるけれど、「犬が鳴いていないか」のようなリアリズム小説から、「羽根枕」のホラー、「水に浮かんだ家…

 森見登美彦 『太陽の塔』 新潮文庫

大学生の本分は勉強なのだが、本当にまじめにはげんでいる人間というのはあまりいないと思う。少なくともぼくの周りにはいなかった。類は友を呼ぶという言葉があるがここでは忘れることにしよう。勉強にはげまないでなにをするか?それはひとそれぞれだ。サ…

 チャールズ・ストロス 金子浩訳 『シンギュラリティ・スカイ』 ハヤカワ文庫SF

SFマガジン2005年12月号はニュー・スペースオペラ特集であったが、その解説の中で「ニュー」というのは、シンギュラリティ以降の世界を扱ったものと筆者は答えてることにしているようだ。じゃあシンギュラリティとはなんだろうと『シンギュラリティ…

 読んでも書かず

ワールドカップを見ていた影響で、感想をさっぱり書いていない。感想を書く予定もない国書刊行会の世界探偵小説全集を読んでいるせいもあるのだけれど。あと感想を書いてないけれど、ゆっくりとSFマガジンは読み続けています。今1966年六月号を読んでお…

 ワールドカップ閉幕

1ヶ月におよぶワールドカップも終了。日本代表はごにょごにょであったよ。課題を把握して、4年後にもっと熱くなれる試合を見せて欲しい。 優勝すると予想したポルトガル代表は4位。がんばっていたと思うけど、フランスとの試合ではついてなかった。決勝ト…

 ワールドカップ開幕

予想しておきます。優勝:ポルトガル 得点王:パウレタ この大会で優勝できないとポルトガルは多分20年は優勝できないんじゃないかと思うのでほんとに頑張って欲しい。ワールドカップ8番目の優勝国になるんだ!

 三崎亜記 『バスジャック』 集英社

バスという単語で連想するのは嘔吐である、いや嘔吐なんて哲学的な言葉じゃなく、もっと汚らしい言葉のほうがあっている。つまりゲロだ、これがいい。というわけでやり直そう。 バスという単語で連想するのはゲロである。過去を振り返ってみて人がゲロを吐く…

[感想」 ジェフリー・A・ランディス 小野田和子訳 『火星縦断』 ハヤカワ文庫SF

サバイバルを描くのに必要なものはなんだろうか?色々とありそうだけれど、重要なことは、周囲の環境を的確に細部まで描くこと、だと思う。サバイバルを強いられるということは当然普段の生活環境とは違うため、精確に描いてくれないと何が問題になってくる…

[感想」 ウィル・セルフ 安原和見訳 『元気なぼくらの元気なおもちゃ』 河出書房新社

「尺度」のような作品を期待して読み始めたけれど、ちょっと違っていたなあと思う。でも短篇集としてよくできた作品が収められていて、不満は全くない。他の長篇や短篇集が訳されたら良いなあと思うけど、されないだろうなあ。それでは個々の短編の感想にう…

[感想」 ハニフ・クレイシ他 柴田元幸訳 『イギリス新鋭作家短篇選』 新潮社

イギリス新鋭作家(といっても刊行された1995年時において)の短篇が5篇収録されているが、とにかくウィル・セルフ「尺度(スケール)」である。 この短篇を評価できない人とも友達になれると思うけど、好きだという人間とはとても話の合う、良い友達に…

[感想」テリー・ビッスン 中村融訳 『赤い惑星への航海』 ハヤカワ文庫

テリー・ビッスンの、人類初の有人火星飛行を題材にした、正統的なハードSF。ビッスンらしく、NASAが売却されていたりと、風刺的な部分もちらほら見られる。 ビッスンらしさは、より細かい部分にもちりばめられている。本文にはいってから2ページ目には、『世…

 黄金週間

ゴールデンフリースを身にまとったゴールデンエイジであるゴールデンマンが、黄金の船に乗り黄金の螺旋を描きながら黄金と太陽の黄金の林檎を手に入れた。

[感想」イアン・マキューアン 宮脇孝雄訳 『最初の恋、最後の儀式』 早川書房

いきなりだけれど感想の書きだしというものにはいつも悩まされる。どう切り出してよいやら考えこんでしまう。なにもまえふりを置かず自分が思ったことをだらだら書きつらねられば問題はないのだが、自分で書いていて唐突な印象を拭いきれない。それであれこ…

SFマガジンその後4冊読んだのですが、感想を書く気力が湧いてきませんでした。もっとのんびり読んでいくことにします。SFマガジンを読まず、4月は多く本を読んだほうなのだけれど、特におもしろかった本の感想を書きます。

[SFマガジン」 1963年9月号(47号)

「三人が帰った」 A・トミリン 相対論的効果による、地球と宇宙船内の時間の差というテーマを取り扱っている。その差から来る父親の感慨は良く描かれているけれど、地球を知らない息子をもっと突っ込んで描いて欲しかった。 「変身処置」 チャールズ・ボー…

[SFマガジン」 1963年8月臨時増刊号(46号)特集!SFセクソロジー

SFセクソロジーとは、ユーモアと、エロチシズムの結びつき、らしい。まあとにかく個々の作品の感想を。 「砂漠の女」 デーン・カーネル 田中小実昌訳 企画第1番目の作品なのに、なんて感想に困る作品だ。あまりに謎、というか都合が良い話だなあ、という…

SFマガジン掲載のビッスンのノヴェラがあまりにもすばらしかったのと、次のオールタイムベストを決めるときまでにはSFマガジンぐらい読んでおいた方が選択の幅が広がって楽しいだろうなと思うので、ここはひとつSFマガジンのバックナンバーを読んでい…

[あだしごと」 前から気になっていること 

ゼナ・ヘンダースンの『ページをめくれば』を読んだ。ヘンダースンといえば、「なんでも箱」しか読んだことがなかった。『SFベスト・オブ・ザ・ベスト』ではなく、『20世紀SF2』で先に読んだはずだ、たしか。なんでも箱が収録されているのは『20世…

[感想」スワヴォーミル・ムロージェック 長谷見一雄・吉上昭三・沼野充義・西成彦訳 『象』 国書刊行会

2006年には世界規模のスポーツイベントが多く開かれる。今トリノで行われている冬季オリンピック、野球の国際大会であるワールドベースボールクラシック、日本で開催されるバスケットボール世界選手権などなど。しかし一番はなんといってもドイツで行わ…

[感想]ノーマン・スピンラッド 荒俣宏訳 『鉄の夢』 ハヤカワ文庫SF

最近読む本が1960年代後半から70年代前半に集中している。この時期の本を集中して読もうとしているわけではなく、読み終わった後に初出を調べていると偶然にそうなっているのだ。 『鉄の夢』も1972年に書かれた作品なのだが、この作品はおもしろく…

[感想]アイザック・アシモフ編 『世界SF大賞傑作選5』 講談社文庫 

本書には、1970年度のヒューゴー賞長中編部門、1971年度のヒューゴー賞長中編部門、短編部門の受賞作が収録されている。それではさっそく個々の作品の感想に移る。 フリッツ・ライバー「影の船」 一つの文だけで、それまでの世界の見え方が変わって…

[感想]アイザック・アシモフ編 『世界SF大賞傑作選4』 講談社文庫 

世の中には様々な賞があるが、海外SFの世界もその例外ではない。その中で双璧を成すのがヒューゴー賞とネビュラ賞である。ヒューゴー賞は世界SF大会参加のSFファン投票でされる。日本の星雲賞と同じですね。全然関係ないんだけど星雲というのがnebula…

[感想]G・ガルシア=マルケス 鼓直・木村榮一訳 『エレンディラ』 ちくま文庫

解説と、魚が降ってくるエピソードで、マジックリアリズムがなんとなくわかった。しかしこんな話を読むときはやっぱり哄笑で良いんですね。長いのも読みたくなったので『百年の孤独』も読もう。

スティーヴン・ミルハウザー 柴田元幸訳 『バーナム博物館』 白水uブックス

普段読まないようなジャンルの本を読むと、いつにもまして本を読むスピードが遅くなってびっくりしますね。SF読んでいても、がっかりするぐらい遅いのに、それ以上に遅くなるとは思わなかったなあ。 『バーナム博物館』はゆっくり読むべき本であると思ってい…

エリック・マコーマック 増田まもる訳 『パラダイス・モーテル』 東京創元社

『隠し部屋を査察して』の文章を直したい、とても直したい。でもこれは直さずにおこう、とても悲しいことだけれど。 別に投げつける必要なんてない。げはげは笑えばいい、難しいことなんか考えなくてもいい、だってもっとわかりやすい文章で解説に書いてある…

エリック・マコーマック 増田まもる訳 『隠し部屋を査察して』 東京創元社

カナダの奇人、エリック・マコーマックの短編集。アイデアは奇想、というよりも変態ですね。僕は変な話が書かれているとそれだけで満足してしまうのですけれど、おかげでとても楽しめました。なんでそんな事を考えるんだろうと呆然としてしまいます。アイデ…