[SFマガジン」 1963年9月号(47号)

 「三人が帰った」 A・トミリン
相対論的効果による、地球と宇宙船内の時間の差というテーマを取り扱っている。その差から来る父親の感慨は良く描かれているけれど、地球を知らない息子をもっと突っ込んで描いて欲しかった。
 「変身処置」 チャールズ・ボーモント
今現在でも、恐らくこの先人間が社会生活を営んでいる限り、数パーセントの人は「自分の事が書かれている」と考え、なにかしら得られるんじゃないかと思う。僕もわかることはわかるのだが、何かを感じるには年をとり過ぎている。
 「招かれざる客」 ロジャー・ディー
5ページの小品であり、オチが唐突でひねりもなかった。
 「果たされた期待」 A・E・ヴァン・ヴォグト
計算機の話だけど話の展開がおもしろく、あんまり古びていなかった。
 今になっても名前が覚えられている作家というのは、当然だけれど良い作品を書いていたと、ボーモントとヴォグトが証明している。前号がおもしろくなかったのは特集が合わなかったのだろう。次の号もおもしろくなかったら読み続けるのも嫌になっていたかもしれないけれど、杞憂に終わって、良かった良かった。