デイヴィッド・イーリイ 白須清美訳 『ヨットクラブ』 晶文社

読んだりネットで検索などしたりして、乙一、イーリイ、スタージョンは似ているということに気付いた。三人異色作家でくくられているけれども、ここは独断と偏見で「何なんだこれは。」派とくくることに決めました。ちゃんちゃん。

それでは各編の感想に移りたいと思います。
「理想の学校」輩出というより収容の牢獄。校長の神経質さんも嫌。
「貝殻を集める女」creatureの意味がすごく嫌。
「ヨットクラブ」少年犯罪みたいなものか?いまいちピンとこなかった。こんなこともあるさ。
「慈悲の天使」日常から片足踏み外すわかりやすい話だったような気がする。
「面接」わかろうとしてもわからない、わかったふりをしてるから果てしなく続く、みたいなもんだろうか。一昔前の日本の企業みたいだけど往時のアメリカもそんな感じだったのかなあ。なかなか楽しかった。
「カウントダウン」復讐として殺したりするのでなく、英雄としての存在を殺そうとしてる。またまた嫌な話だ。自業自得じゃあるんだけれど。
タイムアウト」前半はバカだけど、後半は歴史に対してまともに議論しているので意外。バカまっしぐらな話は書かないんだねえ。しかしアメリカの人もソ連の人も完璧完璧言っているから滑稽にしか見えない。
「隣人たち」おせっかいパワー炸裂。もしくは私は正しい光線。
「G.O'D.の栄光」妄想か現実かわからないけどたぶん妄想だろう。こいつはこの後タイムマシン作って過去行ってその反動で未来に行くんでしょう。
この話で名前は結構重要なのがわかった。原文がないから推測だけど「ヨットクラブ」のゴーフォースも「隣人たち」のテーラーも、もしかしたら「面接」のジョージも意味があるのだろう。
「大佐の受難」パワーアップした私は正しい光線。この場合とても好戦的になるらしい。
「夜の客」表紙は全体の話を暗示しているけど、この話にずばりのような気がする。乙一の「SO−far そ・ふぁー」みたいな話。
「ペルーのドリーマディソン」世界は僕らの手の中には、妄想だから楽しいのであって実際やられると腹が立ちますね、なんて感想を抱いたりもしてみました。
夜の音色」ジャンクからエレガントが?でいいのかなあ、よくわかりませんでした。この話だけ他と毛色が違うような気がする。
「日曜の礼拝がすんでから」10ページしかないけどうまい人はそれでもうまく書けるもんなんだなと感心しました。
「オルガン弾き」いい物作っても人間しだいだなあ、まったく。