[あだしごと」 前から気になっていること 

ゼナ・ヘンダースンの『ページをめくれば』を読んだ。ヘンダースンといえば、「なんでも箱」しか読んだことがなかった。『SFベスト・オブ・ザ・ベスト』ではなく、『20世紀SF2』で先に読んだはずだ、たしか。なんでも箱が収録されているのは『20世紀SF2』だが、『20世紀SF3』に収録されている「砂の檻」と、スタージョンの「海を失った男」って似ていると思いませんか?『海を失った男』の解説で内宇宙とわざわざ書いていたから関係あるのかと思ってたけど、はっきりと言及している文を見たことがない。そういうこともあるよね、ぐらいでいいのかな。どっちも読んだことある人はどう思っているんだろう、気になる。
 内宇宙といえば、『シティ5からの脱出』を読んで、ベイリーも内宇宙志向の人間なんだとわかってびっくり。『カエアンの聖衣』とか『禅銃』とか読んでいるとまったくそんな印象を受けなかったのだけど。「宇宙の探求」は、実際の宇宙より俺が考える宇宙のほうが絶対におもしろい、という創作姿勢を披露してくれているし、「シティ5からの脱出」は象徴的な絵で締めくくっている。
 内宇宙をもう一つ。以前に書いた『ディアスポラ』の感想で、「重要なのは砂時計型だ」などと意味わからないことを書いている。おそらくヤチマもパオロも砂時計のくびれの部分に位置している、などと考えていたのだと思う。パオロが二つの部分をつなげる役目を果たした(砂時計というより、細胞分裂を巻き戻すイメージの方がいいなあ)のに対して、ヤチマはくびれの部分にいて、外宇宙、内宇宙どちらの方向へも探求を行っていた、ということですね。「ワンの絨毯」の部分は、チェスのコマのように動く宇宙、なんて考えていくと、『ディアスポラ』は長編版「宇宙の探求」になるってことで個人的に納得させています。題名もぴったりでよろしい。もちろん『ディアスポラ』は現実の物理法則にのっとっている(はず)けど、「宇宙の探求」は酒とドラッグの産物ですけどね。でも書きたいことの根幹はいっしょのような気がします。神は真理鉱山に宿るのである。
 後気になることをもうひとつ。《ゼノサーガ》三部作の副題にはげんなりする。もうちょっとなんとかならなかったのかなあ。副題ついでに、機動戦士ZガンダムⅢが公開されていますが、この副題は何なのだろう。僕はてっきり今度はバラードで、「時の声」、もしくは少し変えて「時の墓標」かと予想していたんですけど。もちろん時は刻にしてしまいましょう。