飛浩隆 『象られた力』 ハヤカワ文庫JA

目で読むというより、体で読む本だなあと思った。
文章はとても蟲惑的でとてもひきつけられる。そうなるともちろん視覚に比重を置いてしまうのだが、この本を堪能するにはそれだけではもったいない。十分に楽しむためには、五感すべてを研ぎすませる事が不可欠だ。特に重要なのは触覚。作品の肌ざわりを感じ取ることが少なからずできたことが、この読書の一番の悦びだったような気がするから。

一番のおすすめは、やっぱり表題作。圧倒的に濃密な雰囲気を醸し出していた。

というわけで、次は『タフの方舟1』