『フィーヴァードリーム』 ジョージ・R・R・マーティン 増田まもる訳 創元推理文庫

フィーヴァードリーム〈上〉 (創元ノヴェルズ)

フィーヴァードリーム〈上〉 (創元ノヴェルズ)

フィーヴァードリーム〈下〉 (創元ノヴェルズ)

フィーヴァードリーム〈下〉 (創元ノヴェルズ)

 船を失い経営に行きづまったアブナー・マーシュに共同経営を持ちかける者がいた。名をジョシュア・ヨークというその男は共同経営の条件として奇妙な提案をする、というのがあらすじ。
 この二人の関係を読んでいくのが本書の楽しみといっても過言はないだろう。共同経営者となった後もマーシュはヨークの奇癖に疑念を抱いており、信頼し合えるパートナーとなるに至らないが、ヨークの生い立ちや奇癖の真相を知ることにより友情を深めていく。まさに刎頚の交わり。一方の雄、ダモン・ジュリアンとサワー・ビリー・ティプトンとの関係との対比は、南北戦争前夜という時代背景にふさわしい。
 ならず者や荒くれ者も多く登場する男くさい物語であるが、魅力的な女性も多く登場する。美女も美少女も大きい子も小さい子も出てくるが美人薄命なのが悲しいよね。時の流れという仕方のない面もあるけれど、ふさわしい死に方死に場所があるよ。
 続きが気になって一気に読んだことが表すとおり、とてもおもしろかったのだけれど、SFじゃあないだろう。『SFが読みたい!』を見ると1990年のベストSFみたいだけれどそんなに不作な年だったのか?