[感想」イアン・マキューアン 宮脇孝雄訳 『最初の恋、最後の儀式』 早川書房

いきなりだけれど感想の書きだしというものにはいつも悩まされる。どう切り出してよいやら考えこんでしまう。なにもまえふりを置かず自分が思ったことをだらだら書きつらねられば問題はないのだが、自分で書いていて唐突な印象を拭いきれない。それであれこ…

SFマガジンその後4冊読んだのですが、感想を書く気力が湧いてきませんでした。もっとのんびり読んでいくことにします。SFマガジンを読まず、4月は多く本を読んだほうなのだけれど、特におもしろかった本の感想を書きます。

[SFマガジン」 1963年9月号(47号)

「三人が帰った」 A・トミリン 相対論的効果による、地球と宇宙船内の時間の差というテーマを取り扱っている。その差から来る父親の感慨は良く描かれているけれど、地球を知らない息子をもっと突っ込んで描いて欲しかった。 「変身処置」 チャールズ・ボー…

[SFマガジン」 1963年8月臨時増刊号(46号)特集!SFセクソロジー

SFセクソロジーとは、ユーモアと、エロチシズムの結びつき、らしい。まあとにかく個々の作品の感想を。 「砂漠の女」 デーン・カーネル 田中小実昌訳 企画第1番目の作品なのに、なんて感想に困る作品だ。あまりに謎、というか都合が良い話だなあ、という…

SFマガジン掲載のビッスンのノヴェラがあまりにもすばらしかったのと、次のオールタイムベストを決めるときまでにはSFマガジンぐらい読んでおいた方が選択の幅が広がって楽しいだろうなと思うので、ここはひとつSFマガジンのバックナンバーを読んでい…

[あだしごと」 前から気になっていること 

ゼナ・ヘンダースンの『ページをめくれば』を読んだ。ヘンダースンといえば、「なんでも箱」しか読んだことがなかった。『SFベスト・オブ・ザ・ベスト』ではなく、『20世紀SF2』で先に読んだはずだ、たしか。なんでも箱が収録されているのは『20世…

[感想」スワヴォーミル・ムロージェック 長谷見一雄・吉上昭三・沼野充義・西成彦訳 『象』 国書刊行会

2006年には世界規模のスポーツイベントが多く開かれる。今トリノで行われている冬季オリンピック、野球の国際大会であるワールドベースボールクラシック、日本で開催されるバスケットボール世界選手権などなど。しかし一番はなんといってもドイツで行わ…

[感想]ノーマン・スピンラッド 荒俣宏訳 『鉄の夢』 ハヤカワ文庫SF

最近読む本が1960年代後半から70年代前半に集中している。この時期の本を集中して読もうとしているわけではなく、読み終わった後に初出を調べていると偶然にそうなっているのだ。 『鉄の夢』も1972年に書かれた作品なのだが、この作品はおもしろく…

[感想]アイザック・アシモフ編 『世界SF大賞傑作選5』 講談社文庫 

本書には、1970年度のヒューゴー賞長中編部門、1971年度のヒューゴー賞長中編部門、短編部門の受賞作が収録されている。それではさっそく個々の作品の感想に移る。 フリッツ・ライバー「影の船」 一つの文だけで、それまでの世界の見え方が変わって…

[感想]アイザック・アシモフ編 『世界SF大賞傑作選4』 講談社文庫 

世の中には様々な賞があるが、海外SFの世界もその例外ではない。その中で双璧を成すのがヒューゴー賞とネビュラ賞である。ヒューゴー賞は世界SF大会参加のSFファン投票でされる。日本の星雲賞と同じですね。全然関係ないんだけど星雲というのがnebula…

[感想]G・ガルシア=マルケス 鼓直・木村榮一訳 『エレンディラ』 ちくま文庫

解説と、魚が降ってくるエピソードで、マジックリアリズムがなんとなくわかった。しかしこんな話を読むときはやっぱり哄笑で良いんですね。長いのも読みたくなったので『百年の孤独』も読もう。

スティーヴン・ミルハウザー 柴田元幸訳 『バーナム博物館』 白水uブックス

普段読まないようなジャンルの本を読むと、いつにもまして本を読むスピードが遅くなってびっくりしますね。SF読んでいても、がっかりするぐらい遅いのに、それ以上に遅くなるとは思わなかったなあ。 『バーナム博物館』はゆっくり読むべき本であると思ってい…

エリック・マコーマック 増田まもる訳 『パラダイス・モーテル』 東京創元社

『隠し部屋を査察して』の文章を直したい、とても直したい。でもこれは直さずにおこう、とても悲しいことだけれど。 別に投げつける必要なんてない。げはげは笑えばいい、難しいことなんか考えなくてもいい、だってもっとわかりやすい文章で解説に書いてある…

エリック・マコーマック 増田まもる訳 『隠し部屋を査察して』 東京創元社

カナダの奇人、エリック・マコーマックの短編集。アイデアは奇想、というよりも変態ですね。僕は変な話が書かれているとそれだけで満足してしまうのですけれど、おかげでとても楽しめました。なんでそんな事を考えるんだろうと呆然としてしまいます。アイデ…

ハーラン・エリスン編 伊藤典夫・他訳 『危険なヴィジョン1』 ハヤカワ文庫SF

先に作品の方から。本書には八編の作品が収録されています。平均点は高いほうで、六編は楽しんで読むことができました。あとの二編は楽しくなかったのですが、これは半分僕の方に問題があるので何とも言えないですね。題材に興味を感じなかっただけですので。…

ポール・J・マコーリイ 嶋田洋一訳 『フェアリイ・ランド』 ハヤカワ文庫SF

うん、なかなかにおもしろかった。昨年出版されたマコーリイの処女長編『4000億の星の群れ』はさっぱり楽しくなかったし、ぶあつい本なのでびくびくしながら読み始めたのですが、杞憂だったようです。 なんといっても作中内のイメージが素晴らしかったで…

ジョナサン・レセム 浅倉久志訳 『銃、ときどき音楽』 早川書房

家電の次は動物だと思い、軽い気持ちで読み出したけれど、少し思っていたのとは違いました。 舞台となるのは、〈カルマ〉というポイントによって管理されている近未来のサンフランシスコ。このポイントが無くなってしまうと冷凍処置されることになってしまう…

マイケル・マーシャル・スミス 嶋田洋一訳 『ワン・オヴ・アス』 ソニーマガジンズ

2006年が始まって10日経ちましたが、僕の2006年ベストはもう決まりました。『ワン・オヴ・アス』です。他にとてもおもしろいのが出てくる可能性もありますが、その場合も別枠で1位に輝く事は間違いありません。 ベストといっても、話自体でそうな…

あけましておめでとうございます、って遅すぎますよね、すいません。 大晦日から『一角獣をさがせ!』を読みつつ年を越しました。本を買った8月ぐらいから計画していたことなので満足、面白い話だったのでより満足です。変なキャラクターが多く出てきて良か…

SFマガジンのオールタイムベストに投票してみました。こんな感じになりました。 [海外長編] 一位 ダン・シモンズ 『ハイぺリオン』 二位 グレッグ・イーガン 『万物理論』 三位 バリントン・J・ベイリー 『カエアンの聖衣』 四位 イアン・マクドナルド 『…

実家に帰って見てみるとうまく表示されていなかったのでデザインもう一回変えてみました。 ただいま、SFオールタイムベスト投票に合わせて過去の名作を読み進め中。というわけで普段は使わない図書館を利用中。『ヴァーミリオンサンズ』『プリズマティカ』…

タイトル、デザイン変えてみました。週に2回は更新したいものです。

P・J・ファーマー 他 伊藤典夫/朝倉久志 編 『タイム・トラベラー』 新潮文庫

新潮文庫で刊行されていたSFアンソロジーの第三弾。『タイムトラベラー』は時間コレクションと銘うたれているが、前二つは宇宙SFコレクションみたいだ。こっちも手に入れたら読んでみたい。 解説の中で、時間は川であるという主張がなされている。その川の処…

ダン・シモンズ 嶋田洋一訳 『愛死』 角川文庫

ハイぺリオン四部作で有名なダン・シモンズの中編集。 この本、おやっと思うことに著者自らあとがきで作品について述べている。解説者や訳者が行うのは翻訳書では普通のことだけれど、珍しいなあと思う。おかげで感想が書きにくいが、何か新味をみつけていこ…

J・ダン&G・ドゾワ/編 深町眞理子ほか/訳 『魔法の猫』 扶桑社ミステリー文庫

タイトルどおり、猫が活躍する小説ばかりを集めたアンソロジーである。活躍するといっても脇役で、単に作品に彩りを添えるために猫が出てくるのではなく、猫がプロット上必要不可欠な作品に限られている。活躍するといっても、ほほえましいものではなく、元…

京フェス行ってきました。

かなり遅れてしまいましたが、みなさんお疲れさまでした。 本大会で一番楽しかったのはSFファンのための世界文学百科でしたね。おみやげとしてもらったレジュメを片手に大学の図書館を徘徊してみたら、けっこうな数が所蔵されているみたいなんで読んでいこう…

やってみた。+++ 第1回 エンタ!検定 成績発表 +++ あなたの総合得点は73点 全国平均 60点 全国順位(10月7日 8時現在) 3723位(39204人中) −−ジャンル別得点表 −−−−−−−−−−−−−−− 0_________10__________20点 映画 ■■■■■■■■■■■■…

京フェス行きます。

タイトルどおりです。年齢オッケーなので若者の部屋とか行ってみるつもりです。

バリントン・ベイリー 大森望訳 『時間衝突』 創元推理文庫

のっけから仕事で恐縮だが、僕は島根県松江市にある島根県松江市にある島根政治経済大学で、考古学を専攻している。そこで、有名な貝塚と名前が良く似ていてまぎらわしく、よくネタにされる貝塚で発掘を行っているのです。 で「時間衝突」である。のっけから…

グレッグ・イーガン 山岸真訳 『ディアスポラ』 ハヤカワ文庫SF

読了、と言っていいものやら。 何が起こったかはわかったけど、どうやっての部分がほぼ全滅。どうやっての部分が重要なんだろうけど、再読して何とかなるとも思えないし、うーん。 自分の感覚に無理やり近づけてとらえようともしてみた。5次元の世界とかど…